東大阪市職員労働組合
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方針と政策

「公の施設」管理運営の民間丸投げは自治体の責任放棄

2005年02月22日

指定管理者制度

「公の施設」管理運営の民間丸投げは自治体の責任放棄
〜直営原則の堅持を。指定管理者は現行の外郭団体に指定を〜


■1■ はじめに
 市当局(行財政改革室)は、「公の施設」の管理運営にかかわる「指定管理者制度」について、今月末までの予定で原局と調整を行っています。
 市職労は、「公共施設は本来、自治体直営が原則であり、これの堅持を」「すでに外郭団体に管理委託している施設は、現行の法人を指定管理者に指定し、住民への公的責任を果たすべき」「外郭団体職員の雇用破壊につながる危険性もつ制度。市の責任を果たせ」と要求しています。

■2■ 指定管理者制度とは
〜自治体業務「民営化」の新たなツール(道具)

 地方自治法244条の2第3項の「改正」が2003年6月6日に可決・成立。「公の施設」におけるこれまでの「管理委託制度」が廃止され、代わってこの「指定管理者制度」が創設されました。株式会社などが指定管理者として「公の施設」の管理運営に全面参入できるようになりました。
 「公の施設」とは、公園や道路、保育所や児童館、福祉施設、体育館や図書館など、住民福祉の増進を目的に自治体が設置する施設のことを地方自治法でこう呼んでいます。
 自治体直営が原則とされてきましたが、1991年に緩和されて外郭団体(当該自治体が2分の1以上出資する第三セクターなど、公的責任が担保されている団体)への管理委託が可能となりました。今回の「改正」は、緩和ではなく、管理委託制度が「廃止」され、新たに指定管理者制度が「創設」されたものであり、大きな制度「改悪」です。
 「管理委託制度」と「指定管理者制度」の大きな違いは以下の2点です。
@株式会社にも門戸を広げるなど、管理運営への全面的な民間参入を可能にした(これまでは、受付・清掃・警備・喫茶など、管理運営の「部分的な業務委託」のみ可能だった)。
A施設の利用許可など、市が行っていた(権限をもっていた)事項も含めて、全面的な「管理代行」を可能にした。

■3■ 経過と背景
 財界・政府の構造改革路線の一環です。「行政改革大綱」(2000年12月1日)や小泉内閣の「骨太の方針」(2001年6月)は、NPM(ニュー・パブリック・マネジメント=新行政経営)を明記しています。
また、総合規制改革会議などを通じて、財界から「官製市場の民間開放」要求が強まり、「大型の民営化は地方独立行政法人制度」、「小型の機動性のある民営化は指定管理者制度」の方向となっています。
 さらに、第三セクター方式による大型公共事業の大失敗を「反省」した財界の大きな狙いは、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ=民間資金と経営能力の活用)によって、公共施設の「設計・建設・管理・運営」を1つの大企業で受注し、最高で30年間も自治体からの税金で安定的に収入を得ようというものです。そのために、指定管理者制度を「パブリックビジネス」として重視しています。

■4■ 「公の施設」を管理運営している団体
 現在、東大阪では、東大阪市社会福祉協議会、公共社会福祉事業協会、東大阪市社会福祉事業団、の3つの社会福祉法人、(財)東大阪市施設利用サービス協会、(財)東大阪市勤労者福祉サービスセンター、(財)東大阪市公園協会、東大阪市駐車場整備(株)、(財)東大阪市文化財協会、(株)東大阪住宅公社、(財)東大阪市中小企業振興会、などが市からの委託を受けて、公の施設の管理運営を行っています。
 ここに企業が参入できる仕組みが法制化されました。

■5■ 東大阪でおこり得る6つの問題
@営利目的の民間参入により、効率性が最優先され、住民サービス低下の危惧。
A外郭団体との契約を解除し、株式会社などを指定管理者に指定(プロパー職員の解雇、賃金・労働条件の抜本的改悪)
B外郭団体との契約解除を圧力にして、委託料などを大幅圧縮し、現行の外郭団体を指定管理者に指定(よって、@とAのカッコ内と同様の事態が発生する危険)
C直営施設の新たな民営化(売却、委託、指定管理者制度など)や職員配置などの改悪。
D地域の有力者などへの指定管理者の指定など、汚職と腐敗を再燃・拡大させる危険。
E中核市移行により、社会福祉法人の認可・指導監査権限なども手中にすることとあわせ、膨大な権限が市長と議会に集中する危険。

■6■ 東大阪市当局の導入スケジュール
 市当局は、昨年10月に庁内検討会議を設置し、制度の導入方針を策定してきました。今後は、6月議会での「設置条例改正」にむけた作業、6月議会後は指定管理者の募集、12月議会で指定管理者の指定を議決し、来年の3月議会で指定管理者への委託料を含む予算化を行い、2006年4月から指定管理者制度をスタートさせる予定としています。

■7■ 市職労の基本的立場と今後の取り組み
「指定管理者制度」は、財界・政府の「官製市場の民間開放」政策の一環であり、直営(外郭団体運営)の公平性・中立性・安定性・継続性を損なうものであり、市職労は「反対」の立場です。
 しかし、地方自治法はすでに改悪されており、「現行どおりの管理委託」は、06年9月以後は法律上できないことになりました。よって、@直営に戻す、A現行の外郭団体を指定管理者に指定、B株式会社など他の団体を指定管理者に指定、のいずれかを選択する必要があります。したがって市職労としては、基本的には@をめざしますが、公共性を引き続き担保するために最低限Aとする、ことを求めます。
 今後、上記の立場で対応していくとともに、当局の指定管理者制度に関する「導入方針」や「施設条例の改正」に対しては、民主的な内容になるよう、地域の諸団体や当該職場の労働者とともに取り組みをすすめていきます。


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