東大阪市職員労働組合
スローガン
方針と政策

中核市移行と組織機構見直しにあたって
市民サービス拡充と計画的で特色あるまちづくりへ、当局は、市民・職員の納得・合意形成と英知の総結集を。

2005年04月04日

 東大阪市は、4月1日から中核市に移行、同時に、大幅な組織機構の見直しが実施されました。

 中核市移行については、昨年、臨時議会に中核市移行議案が提出され、審議が始まる4月28日、市職労は「立場と要求」を明らかにしました。そこでは、@大阪府から移譲される権限が有効に活用されれば、市民サービスの向上やまちづくりが前進する可能性があることを否定するものではない、Aしかし、財源や職員体制など必要な条件が確保されなければ、府から移管される業務にとどまらず、広い行政分野で市民サービスの後退などが生じる危険性がある、と指摘してきました。

■中核市で、住民サービスは? 市財政への影響は? 職員体制は?
 大阪府から権限移譲される事務の項目は約1300件。財源について当局は、中核市移行に伴う支出増(約32億円)は地方交付税の増額措置で全額カバーされると説明してきました。しかし今回の予算で地方交付税の増額は8億円にとどまっています。他の要素とは言え24億円も減額されており、市予算全体の中ではさらに厳しい財政運営を強いられることが予想されます。

 住民サービスをささえる職場の体制問題では、大阪府は職員11人分の仕事量としてきましたが、住民に直結する市役所ではそれを上回る体制が必要となります。しかし当局は、平成15年度から6年間で約600人の職員を削減するという職員数計画をおしすすめており、市長も「安易な職員の増員などできない。組織の見直しなどを考えていきたい」「職員11人分の仕事が増えるものの、原則として配置転換で対応する考えだ」としてきました。4月から新採職員が入るものの、退職者はそれを大きく上回っており、各職場に矛盾が広がることは必至であり、体制整備の当局責任が問われます。

■リストラ・職員削減優先の「組織機構見直し」
 そうしたもとで今回の組織機構の見直しは、職員削減をすすめる「リストラ」行革を前提に、中核市移行に伴う組織整備とそれを契機に「民間経営」の発想で市政運営を行っていくためのものだということが明らかになっています。

 そもそも組織機構は、地方自治体の役割が「・・住民の福祉の増進を図ることを基本として・・」(地方自治法第1条の2)にあり、「民主的にして能率的な行政の確保」(第1条)の原則から、その機構が簡素で効率的であることはもちろんですが、行政の能率化の原則のために、「地方自治の本旨」(第1条)から要請される地域住民の権利・自由の擁護や福祉の増進が忘れられることがあってはなりません。

 「民主的」と「能率的」の原則は、憲法が保障した「地方自治の本旨」(92条)に基づく地方自治の確立に向けたものとして、両者一体的に追求されるべきものです。

 したがって、住民福祉の向上につながる事務を執行していくうえで、それに必要な簡素で効率的な組織であることと同時に、働きやすく市民サービスの向上にも結びつく組織機構でなければなりません。

■職場・市民への周知期間もごくわずか。住民参加はまったく不十分
 組織機構の見直し「素案」は、職場への提示が1月17日と遅れ、わずか1週間程度の討議期間など、議論が十分保障されない、非民主的なやり方となりました。

 市職労は、「今回の『素案』が4月からの中核市移行を大きな理由としているにもかかわらず、職員参加による充分な検討を抜きにしてまで急ぐ必要があるとは思われない内容も多分に含まれている」「上下水道統合問題など職員の身分や労働条件にかかわる問題など今回の組織機構の見直しは重大な問題を含んでいる」など。強く指摘してきました。

 にもかかわらず、市民サービスがどう向上するのか、市民ニーズに応える組織機構にふさわしいかなど、職場の議論が不十分な状況なまま、また、市民への周知や事務的な準備が間に合うかどうか危惧される状況のまま市議会への上程を強行したのは、松見市長の政治的判断が最優先されたものと言わざるを得ません。

 同時に、臨時市議会の質疑で、市側への「行政経営とは何か」という質問に対して、「市民を顧客と捉え、その満足度を最大化することを目標」「民間的な経営の感覚を取り入れた自治体経営」をめざしているとし、市長自身も「民間でできることは民間に」「小さな政府が必要」などとしており、自治体の役割を投げ捨てかねない危険性があります。

■住民福祉向上を中心にすえて
 今回の組織機構の見直しによって生じる問題の解決に、当局が責任をもってあたることは当然です。市職労は、引き続き事務分掌や体制の問題など市民サービスの低下をきたさないよう、職場での点検・討議を深め、当局に要求し解決を迫ります。

 また、中核市移行を機に、真の市民サービス拡充と計画的で特色あるまちづくりをめざして、市民・職員の納得と合意を時間をかけて図るよう、当局に求めていきます。

 さらに今回の見直しの背景には、「民間的な経営」「市民を顧客と捉える」などNPM(ニューパブリックマネジメント)路線に基づいた発想があります。市職労は、「NPM行革」が市民・職員にもたらすものを明らかにしながら、市民のいのちとくらしを守り、住民福祉の向上を図るための取り組みや自治研活動を強化していくものです。


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