東大阪市職員労働組合
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方針と政策

本庁舎の「環境ISO」認証取得をどう考えるか

2005年05月16日

本庁舎の「環境ISO」認証取得をどう考えるか
市民サービス・職場環境の改善と調和できる活動めざそう

〜6月からの運用開始にあたって  2005年5月16日・市職労

■1■ はじめに

東大阪市は、本庁舎の「ISO14001(環境ISO)」認証を来年3月に取得することをめざし、取り組みをすすめています。

職場ごとに課長(実行推進責任者)から全職員に「伝達研修」が実施され、5月26日には市が「ISO運用開始」を宣言。6月1日から各職場で「始業前・昼休みの消灯」「6月から9月末まで南側ブラインドを終日降ろす」「両面印刷や廃棄物分別の徹底」「フロア会議・監視当番の設置と毎日のチェック」をはじめ、詳細な実行(「共通活動」など)段階に入ろうとしています。

環境への負荷を低減する取り組みをすすめることは行政として当然であり、市職労としても可能な協力を行う立場です。しかし、環境ISOの取り組みが「めんどう」「しんどい」「いそがしい」だけに終わってしまっては、職員の意欲や知恵・創意を生み出すことになりません。市民が利用しやすい庁舎、働きやすい職場環境への改善につなげる努力が必要です。

市職労としての基本的な考え方を明らかにし、組合員・職員のみなさんの討論の素材としたいと思います。

■2■ ISO(アイエスオー、イソ)とは?

ISOは、スイス・ジュネーブに本部を置き、147カ国が加盟する非政府機関である「国際標準化機構」(International・Organization・for・Standardization)の略称です。

英語名ではIOSとなるところ、ギリシャ語の「同じ、平等、標準」という意味の接頭語ISOS(アイソス)にちなんでISOに。英語のisotope(同位元素)などの語源ともなっています。ISOは1947年、多国間(とくにヨーロッパ間)貿易を促進するために、「規格の統一」を図り、技術的な貿易の障害を取り除くことを目的に設立されました。1万種以上のISO規格が存在しますが、中でも「イソねじ」「フィルム感度」「非常口誘導灯」などの規格が有名です。日本工業規格(JIS)は、ISO規格をそのまま適用しています。

■3■ ISO14001とは?

ISO14001は、企業などが環境に配慮した経営を行うための国際的な共通ルール。「環境ISO」とも呼ばれています。いままでの「物」の規格と違い、「管理システム」であることが特徴。@目標を設定し実現のための実施計画を作成(PLAN)、A実行・運用(DO)、B測定・評価(CHECK)、C見直し・改善(ACTION)という流れ(PDCAサイクル)を繰り返す、としています。

1992年の国連環境サミットをきっかけに、1993年に専門委員会を設置して、環境管理の方法や基準、評価方法に関する国際規格を作成。1996年9月に、あらゆる業種に適応できる「ISO14001」が打ち出されました。

日本の企業は、世界で最も数多く認証を取得しており、2005年5月1日時点で1万6099件となっています。国内では、(財)日本適合性認定協会(略称JAB)認定の審査登録機関(5月1日現在44法人)による認証が一般的です。

ISO規格には、本来、強制力や罰則はありませんが、業界では事実上標準化しており、環境問題や企業行動に関する標準を達成していないと、取引上の不利益をこうむることがあります。企業にとって環境ISOは「環境重視」を消費者に印象づける有力手段となっています。

■4■ 自治体でも取得増。一方で、審査料「もったいない」と返上・自立方式も

民間企業だけでなく、自治体などの公的機関も取得に積極的になっています。4月現在で自治体を含む公共行政部門は500件以上が取得しています。

大阪府内では、府庁、大阪市、堺市、吹田市、高槻市、枚方市、寝屋川市、和泉市、島本町の9自治体が認証を取得。東大阪市では水道局が2004年2月26日に取得。自治体では「エコオフィス」が中心目標となり、@電気・ガス・水道・ガソリンなどの使用量減、Aコピーや紙の枚数減、Bごみ排出量の減など、省エネ・省資源が重視されてきました。今後はグリーン購入(環境配慮物品の購入義務化)も加わろうとしています。

一方で、環境ISOの認証審査(初年度の登録審査、毎年の定期審査、3年ごとの更新審査)費用をはじめとする諸経費(数十万円〜数百万円。東大阪は今年度予算370万円)削減のために、早くも、認証された環境ISOを返上し、自己宣言方式に移行する自治体(兵庫県、水俣市、水沢市、飯田市など)も出てきています。また、芦屋市は最初から取得せずに大学の協力を得て独自システム運用をめざしています。

■5■ 市が掲げる4つの目的

@市が行う事業からの環境負荷の継続的改善を図る。
A市内で最大の事業者として、環境問題に率先して取り組み、省エネ、省資源などを図る。
B50万都市のステイタスとして認証取得し、市民への信頼と期待にこたえる。
C職員の環境に関する意識改革を図ることにより、施策に反映させ環境に配慮された環境文化都市を目指す。

■6■ 市職労の基本的な考え方と対応

1. 職場合意つらぬき、市民サービス向上、快適職場を

これまでの時間・費用と関係職員の苦労が生かされ、全職員の納得と自主性・積極性が発揮される運用が重要です。環境負荷低減の取り組みと市民サービス向上・快適職場づくりを対立させず、調和を図る姿勢を貫くことが、息切れせずに長続きさせるポイントになるはずです。

環境ISOの「認証取得」が自己目的化したり、「マニュアル遵守」だけが一人歩きしないよう、職場・職員の合意を重視し、「4つの目的」を民主的に具体化・推進することが必要です。

2. 労働条件、職場環境は労使協議・合意を

労働条件(ISO関連の業務量増加など)や職場環境(温湿度・照度など)にかかわることは、その都度労使で充分に事前協議を行い、その合意を経て実施すべきです。また、市職員安全衛生委員会においても議論が必要です。

市職労は、環境負荷の低減という「本来の目的」が達成され、市民と職員に改善がもたらされるよう、労使協議を継続的にすすめるものです。

(以上)


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