東大阪市職員労働組合
スローガン
方針と政策

税徴収業務を民間にゆだねる「東大阪市納税呼びかけセンター」(コールセンター)業務について

2009年12月07日

2009年12月7日 東大阪市職員労働組合・職員合同支部(見解)


■はじめに
東大阪市当局は2009年12月1日、平常業務に派遣労働者を受け入れる「東大阪市納税呼びかけセンター」(コールセンター)業務を総合庁舎内で開始しました。
コールセンターとは、「顧客への電話対応業務を専門に行う事業所・部門である。大手企業の問い合わせ窓口のような、電話回線数や対応するオペレータ人数が多い大規模な施設を『コールセンター』と呼ぶことが多い」「業務としては・・・消費者からの電話を受けるインバウンドと、企業からセールスなどの電話をかけるアウトバウンドの2つに分かれる」(ウィキペディアより)ものです。 民間だけでなく、自民党政府の構造改革・規制緩和により、いくつかの自治体でも徴収業務で導入されています。
財務部当局の説明によると、11月18日に入札が実施され、株式会社KDDIエボルバが落札。12月1日に契約締結し、1日から研修(個人情報保護、人権、実務)を行い、7日の週から本格稼動。5名の労働者が登録され、うち3名が常時勤務となり、勤務場所は3階の収納対策室の一部。パーテーションで区切り、市の机・パソコン・電話等を使用して、業務(@現年度分の滞納者に対する自主納付の呼びかけ、A口座振替利用の推奨、B報告書の作成など)を行うとのこと。勤務は月・水・金は午前9時から午後5時30分、火・木は正午から午後8時、休日業務も予定しており、来年3月までの4ヶ月間を契約期間としています。

■民間への業務「切り分け」によって起こる矛盾
市税の課税・徴収業務は、「徴税吏員」(地方税法1条1項3号)、つまり市職員のうち徴税吏員証を交付された税務職員にのみ付与された権限(公権力の行使)です。市職員でない派遣労働者は、未納者に対して「払って下さい」とは言えず、納税者に「未納をお知らせ」し、納付書再発行や口座振替制度など「納税方法を案内」する業務に限定されます。
つまり、市税徴収業務の中から公権力の行使にあたらない業務(民間で可能な業務)を無理に「切り分け」するもので、当該の派遣労働者自身にも仕事のやりにくさを感じさせるとともに、徴収担当職員の中に非効率・重複業務の発生や、課税と徴収の職員間の連携に不都合が生じないか危惧されます。
業者決定の入札では、最低価格の派遣会社に落札することとなり、結局、契約金額の大部分を占める「労働者の賃金」が限りなく安くなってしまいます。また、納税者の個人情報保護のためやむを得ないこととは言え、派遣労働者に極めて厳格な情報管理・勤務管理を強いることになります。これは、公務に民間を混在させるために起こる事態と言えます。

■そもそも「派遣労働」とは
本来、労働者は企業と直接「雇用契約」を結び、企業に対して労働力を提供し、その対価として賃金を受け取る、これは労働基準法などで規定されています。
しかし、労働者派遣法は、この例外として定められ、@労働者は派遣元(派遣会社)と雇用契約を結んで賃金を受け取る、A派遣元(派遣会社)が派遣先(企業)と派遣契約して派遣料を受領し、労働者を派遣先(企業)に派遣、B派遣先(企業)は派遣労働者に指揮命令して労働させる―という三角関係(※別掲)になります。
企業による直接雇用なら労働者は直接賃金を受け取りますが、派遣労働では「間接雇用」となり、派遣元(派遣会社)に一定の利益が確保される制度。戦後はこうした労働者供給事業を職業安定法44条で禁止していましたが、財界の要請で自民党政府が1986年から労働者派遣法によって、通訳など26業種に限定して「解禁」し、2004年からは「派遣切り」で大きな問題となっている製造業にも導入されています。
派遣労働はあくまでも雇用形態の「例外」であり、現在も事業主による「直接雇用」が労働法制の原則となっています。

■体制整備など当局の役割・責任を明確に
税徴収の一部とはいえ民間委託を導入する今回の業務は、本来は正職員で実施すべき業務であるにもかかわらず、当局が徴収担当職員の大量人員削減を強行してきたことに起因しており、業務をできなくしてきた当局責任は極めて大きいと言えます。税徴収職場では現在も平日夜間や休日徴収業務も行っていますが、さらに2・3階職場に一律の土曜開庁を求めながら、欠員補充を放置するなど、現場職員の頑張り・意欲に応えていません。
業務の切り分けは、非効率を生み、住民の意見や要望を市の責任でしっかり把握することを困難にしかねません。当局は、集中改革プラン(民営化計画等)や職員削減計画は直ちに見直し、「恒常的業務については任期の定めのない常勤職員が担うことが基本」との総務省見解を遵守し、派遣労働を無原則的に拡大することはあらため、正職員での体制整備を図るべきです。
今回の派遣契約は来年3月末で終了することから、4ヶ月間の総括をしっかり行い、労使合意・職場合意で今後の対応を決定することを当局に求めるものです。 

以上


[一つ前のページへ戻る]
 
トップページニュースごあいさつ市職労Q&A事務所案内リンク集お問い合わせサイトマップ

東大阪市職員労働組合
〒577-8521 東大阪市荒本北1丁目1番1号
TEL06-4309-3400 FAX06-4309-3840