東大阪市職員労働組合
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方針と政策

第2回人事評価試行の実施にあたって

2010年02月16日

〜「住民のためにいい仕事をする、いい職員を育てよう」の思いは一致する。
しかし、多くの課題があり、指摘踏まえ試行で充分な検証を〜

 
人材育成室は第2回人事評価試行について、評価基準日を2010年7月20日とし、この2月1日から評価期間をスタートするなどのスケジュールや、評価シートの一部を見直すことなどの説明を総務担当課長会議で行いました。

■この間の経過
 人事評価制度は「人事政策の実施プラン」のうちの1つです。「人事政策の実施プラン」は07年に示されましたが、市職労は「給料表の見直しでワタリ制度が廃止され、新たに昇任・昇格制度が必要になった。それには市民からも理解されるような一定の『能力の実証』が必要だということになる。そのことから協議にのぞんでいくが、その出発点は「『給料表の見直し』問題での確認を守り、どう具体化するのかというところにある」ことを確認しました。そして、「人事政策の実施プラン」のうちの1つである人事評価制度についても当局との協議を重ねてきました。
 しかし、当局は、第1回試行を市職労との合意がないまま、評価基準日を年1月1日とし、評価対象期間は08年12月12日〜31日まで等とする大変無理なスケジュールで一方的に強行しました。
 市職労の抗議に対して当局は、「組合からの指摘、課題を抱えたまま試行実施していくことは申し訳ない」と謝罪し、「今後よりよい制度につくっていきたい。評価するのではなく、人を育てるものにしていきたい。そのために課題を解決していかねばならない」とし、「本格実施は、合意のうえ実施していく」と改めて確約しました。
 第1回試行後に市職労が行ったアンケートでは、@「振り返りシートの内容について問題がある」と考えているが約7割、A「総括主幹が第2次評価者になることは問題がある」が6割超、B評価の公平性や客観性については、公平性の確保について約7割が危惧し、客観性についても7割5分が疑問をいだいている、C評価者面談については約半数の人が面談内容の改善が必要と感じている、D「評価の活用」については、「研修、自己啓発への活用」については3割以上が肯定的に回答する一方で、「昇任、昇格への活用」では6割超、「賃金への反映」では7割超が否定的な回答をする、などの結果になっています。

 試行後再開された協議で市職労は、以下の点を中心に指摘、追及しました。

(1)制度の問題点として、 @第1次評価は本人評価なので「絶対評価」。しかし第2次評価は「絶対評価とする」としながらも、他の部下との比較が入り込み「相対評価」になる可能性が大きいことの矛盾、A第2次評価は「他人」の評価である以上、そもそも本人評価との物差しが違うので、第2次評価でもSABC評価とした場合に充分説明ができるのか、B若い職員が評価を求めているというが、それは自分のがんばりをちゃんと見てほしい、公正で客観的な評価をして欲しいというもの。公平・客観的な評価は難しいのではないか、C職員のチームワークで業務を遂行している職場も多数ある。その中で個人を切り離して評価することは無理がある、D非正規職員が、正規職員と同じ責任を持って正規職員と協力し業務を遂行している例はたくさんあるが、評価の対象とはならないこと、など指摘しました。

(2)総括主幹が第2次評価者になることについては、
@「職場の多忙化」「職員体制の不充分さ」という問題を多くの職場が抱えているなかで、総括主幹が職場の体制に組み込まれ、第2次評価者としての責務を果たせない状況になっている、A職場の体制とあわせて総括主幹の在り方について検証する必要がある、B組合員の範囲である総括主幹が評価をするのは、組合所属の違いによる恣意的な評価が懸念されることとあわせて、評価する方・される方、両者に対しての心理的圧迫につながる、C「賃金に直接リンクしない」と言っても昇任・昇格に活用する以上、賃金への影響が全くないわけではない。組合員の範囲である総括主幹が評価に関わることは適当ではない、ことなどを追及しました。
(3)人材育成を主眼とするなら、まず日頃の指導や啓発が大事であり、そういう職場環境にあるのかという問題がある。職員会議が定期的に開催され、「育成の場」「気づきの場」になっているのかどうか。その点の改善なしに制度を導入しても人材育成にはつながらない、と主張しました。
(4)給料表の見直しに関わる残課題については、見直しから年数も経ており、改めて「残課題」の内容について確認したうえで、ワタリ制度がなくなったもとで人事制度が賃金制度になっており、切り離した議論にはならないことを指摘しました。

■市職労の基本的な考え方
 市職労は「全体の奉仕者」という職務を担う公務職場に求められる人事政策と人材育成制度の基本については、以下の基本的視点がなければならないと考えます。

(1)「全体の奉仕者」としての能力・資質向上が重視されるべき
 @憲法と地方自治の本旨に基づき、住民の願いに民主的・効率的に応える行政を推進する公務員を育成する制度であること。
 A利潤、採算のみを追求する競争至上の選別的な民間企業の人事制度の模倣ではなく、職員が相互に協力・連帯して業務の遂行にあたることができる制度であること。

(2)個人だけでなく組織全体の力量や水準の向上が図られる制度であること
 @一人ひとりの職員の意欲と可能性が活かされ、自治体のあらゆる分野と職域で働いている職員個人と組織全体がともに成長・発展しあえ、行政全体の質と力量が高められる制度であること。
 A集団の議論を通じて自覚的な規律を養成し、組織と個人の「克服すべき課題」「努力・改善すべき分野」などを明らかにし、組織と個人が互いに成長・発展できる制度であること。

(3)職員参加による総合的な人材育成制度の確立が必要であること
 @公務の運営は公平・公正の原則のもとに民主的な運営が貫かれることが重要です。そのためには施策の策定・実施過程に至るすべての段階に、住民参加や職員の参加を保障する制度の確立が大事であり、こうした運営やそれを保障するような職員研修等を通じて人材育成が図られること。
 A職員が健康を保持し、誇りと働きがいをもって生き生きと働ける民主的な職場づくり、その土台となる賃金・労働条件の改善、公正で民主的な人事異動、体系的な研修制度や職場会議の充実が図られること。

■協議の到達点と評価について
 市職労は、以上のような考え方と経過から、@評価シート、評価項目、評価者は職場・職種に応じた内容に変更する、A総括主幹は第2次評価者から外す。外せない場合でも、記述式の評価のみとさせることなど大幅な見直しと、B給料表見直しによる残課題についても早急に協議する、ことを求めて協議にのぞんできました。
 これに対して当局は、@一部職場(保育所、学校校務員など)の評価シートは改善する、A出先施設は所属課とは別に評価項目が選択できるようする、B日頃の仕事ぶりを評価者が見ることが困難な職場については被評価者の記述による評価とする、C給料表見直しによる残課題は同時進行で別途協議する、D総括主幹が第2次評価者となることで発生する問題は認識する、などとしたものの、「総括主幹による評価は記述式評価とともに、4ランク評価についても試行し、その試行結果を検証させてもらいたい」とこだわりました。
 市職労は@ABや副主幹の設置については一定の評価はするものの、総括主幹が第2次評価者となることについては考え方に大きな隔たりがあり、今回の試行については合意できないことを表明しました。
 また、@第1次評価としての振り返りシートを提出しない場合や第2次評価で評価しないという場合、処分規定もないことから本人に不利益な取り扱いはできないこと、A試行期間中は昇任に反映しないこと、B本格実施は労使合意・職場合意でおこなうこと。また、課題整理ができなければ試行の延長もありえる、ことを改めて確認しています。

■今後の対応
 市職労は人事評価制度については基本的に反対ですが、「住民のためにいい仕事をする、いい職員を育てよう」とすることは否定しませんし、その思いは労使とも一致していると理解しています。当局が、人事政策全体の目的を「職員が働く喜びを感じ、前向きに仕事に取り組むことにより、一人ひとりが成長し、組織が活性化し、住民サービスが向上すること」とし、人事評価制度について「今後よりよい制度につくっていきたい。評価するのではなく、人を育てるものにしていきたい。」という立場で検討するなら、市職労の指摘も踏まえて制度の見直しが必要だと考えます。同時に、人事評価制度のみを先行するのではなく「人事政策の実施プラン」全体の議論がすすめられる必要があります。
 市職労は、「全体の奉仕者」という職務を担う公務職場に求められる人事政策と人材育成制度の確立と給料表の見直しに関わる残課題の解決、働きがいと誇りを持って働ける職場づくりをめざして引き続き奮闘します。


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